【保存版】スキマ時間を活用した2次試験対策(令和元年度事例Ⅰ)

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この記事では、

  • まとまった勉強時間がなかなか確保できない
  • スキマ時間を有効活用したい

そんなお悩みを解決します!

 

 

「まとまった勉強時間を確保できない」というお悩みは多くの方がお持ちではないでしょうか。

 

故に、「スキマ時間を有効活用したい」という思いは至極当然かと思います。私もそうでした。

 

しかし、そのような都合の良い教材はなかなか見つかりません。

 

「だったらスキマ時間にスマホ一つで学習できる教材を自分で作ろう」ということで作成したのが本記事です。

 

 

本記事の特徴

 

  • 「2次試験」の事例演習を丸ごと掲載!
  • 実際の解法手順に沿って記載 ▶▶▶ 順に読み進めるだけで解法手順が身に付く!
  • スマホ一つでOK! ▶▶▶ スキマ時間を有効活用できる!

 

大切なことは『質の良い教材(→過去問)に多く触れること』です。

 

2次試験は、1次試験のような暗記試験とは異なります。

 

過去問を「読み物」として、楽しく勉強しましょう。それが2次試験学習の「コツ」です。

  

 

こーちゃん
こーちゃん

それではさっそくやっていきましょう!

 

【手順1】与件文の最初と最後の内容確認

 

最初と最後の段落から、業種や会社の規模感、課題などの事例の概要をザックリと掴みましょう。

 

目的は、『次の「設問解釈」(手順2)の精度をより高めるため』です。

 

事例の【概要】を把握していると、していないのとでは、「設問解釈の精度」に違いが生じます。

※時間と労力をかける必要は全くありません。

 

  • 設問解釈の精度をより高めるためにも、『簡単に』事例の概要を把握しよう!
  • 決して時間をかけない!
  • 「設問解釈のヒントになればラッキー」程度の軽い気持ちで取り組みましょう!

 

それでは、さっそく与件文を確認してみましょう。

(第1段落)
A 社は、資本金 8,000 万円、売上高約 11 億円の農業用機械や産業機械装置を製造する中小メーカーである。縁戚関係にある 8 名の役員を擁する同社の本社は、A 社長の祖父が創業した当初から地方の農村部にある。二代目の長男が現代表取締役のA 社長で、副社長には数歳年下の弟が、そして専務にはほぼ同年代のいとこが就いており、この 3 人で経営を担っている。

(第11段落)
しかしながら、これまでリストラなどの経営改革に取り組んできたものの、A 社の組織は、創業当時の機能別組織のままである。そこで、A 社長が経営コンサルタントに助言を求めたところ、現段階での組織再編には賛成できない旨を伝えられた。それを受け、A 社長は熟考の末、今回、組織再編を見送ることとした。

 

わかることは、

  • 機械製造メーカー(第1段落)
  • 同族企業(第1段落)
  • 創業当時から現在まで機能別組織(第11段落)
  • リストラなどの経営改革を実施(第11段落)
  • 社長は組織再編をしたかったが、今回は見送った(第11段落)

 

これで十分です!むしろ、やりすぎくらいです(笑)

 

「製造メーカーなんだな」ってことがわかるだけでもOKです。

 

この段階では、どの記述がどのような解答根拠になるのかはわかりません!

 

こーちゃん
こーちゃん

序盤から深読みして時間を使うのだけは避けましょう!

サクラ
サクラ

本当に簡単に概要を把握する感じですね!

 

本格的に力を入れるのは【手順2】からです!

 

 

【手順2】設問解釈

 

設問解釈は、与件文を読む際(→手順3)における「探し物の、当たりをつける」、そんなイメージです。

 

この【手順2】設問解釈が『最も大切な作業』です。

 

理由は簡単です。

 

何を探せばいいのかわからないまま与件文を読み込んだところで、探し物は絶対に見つからないからです。

 

それはハッキリ言って時間の無駄です。

 

与件文を読み込む前に、しっかりと時間をかけて設問を読み解きましょう。

 

ある程度、具体的に探し物を想定することで、【手順3】「設問と与件文の紐づけ」の精度がより高まります。

 

※探し物を一つに絞るのではなく、考えられる候補を複数想定しておくイメージです。

  

設問解釈のコツは、

  • なぜこのワードをチョイスしたのか
  • なぜこのような文章の流れなのか
  • これだけでも十分意図は通じるのになぜあえてこの記述を入れたのか
  • こんな意図があるのかな??

などなど、一言一句、洩れなく読み込み、自分でツッコミを入れながら、「深読み」することです。

 

ここでは「思考を拡げる」、そんなイメージでしょうか。

 

  • 「探し物」の当たりをつけよう!
  • 解釈は幅広に!
  • 手順2は思考を「拡げる」段階である!

 

若干脱線しますが、設問解釈で参考になるのはやはりコチラの書籍です。

 

2次試験対策の必読書となりますので、是非ご覧ください。

 

 

 

設問解釈の詳細はコチラをご覧ください↓

 

こーちゃん
こーちゃん

それでは具体の設問解釈に進みましょう!

 

サクラ
サクラ

『楽しむ』ことを忘れずに!

 

【第1問】設問解釈

第1問(配点 20 点)
A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

問いは「過去」についてだな~
過去は過去。過ぎた話。大切なことは「過去から学び、将来へつなげること!」

つまり、今後出てくるであろう「将来」系の設問は、この第1問のような「過去」系の解答内容を踏まえる必要があるってこと!(じゃないと過去を分析する必要ないよね~。過去の失敗から学べってことね!)

 

問題要求は「理由」かぁ。

でもニュアンス的には「理由」というよりも『要因』って感じかな!

(「理由」は″行動”に対して使い、「要因」は”結果”に対して使うからね!)

 

「最大の」ってシバリがついてるな。ってことは、理由は ” 複数 ” あるんだろうな〜。
つまり、「理由は、①〜、②〜」といった記載はNGと。

 

「ビジネスとして成功」って、、、なんだ??

ん~、「ビジネス」ってなんか、冷たい響きだよなぁ~。「利益を上げてなんぼ」って感じがする。現実の場面でも「ビジネスとして成立する」こんな感じで使うイメージだなぁ。
すると、「ビジネスとして成功」ってのは「しっかりと収益(利益)を上げる」ってことかな??
てことは、「メンテ事業は収益をあげることができなかった」ってことね!

収益(利益)は ”売上” と ”費用” に分解できるから両面から与件文をチェックしてみるか!
(ヨシヨシ、多面的に検討できているな!)

 

設問を一言でいうと、「メンテ事業が収益を上げることができなかった最大の理由は何か?」だよね。
つまり、これ以外の記述は本来不要なはず。。。
逆に考えれば、「あえて付け加えている」とも言える。。。

ということは!

「A社長がトップに就任する以前の」という表現が『わざわざ表現』か!この記述は本来無くても設問の趣旨は十分伝わるからね。
なのに、あえて付け加えたことに何かしらの意味があるとしたら??

ん~
「トップにに就任する以前のA社だったからメンテ事業は成功しなかった」ということか??
ここに導くための出題者からのヒントなのか??
A社長がトップ就任後に初めていたら結果は違っていたのか??

 

事例Iだから「強み」との関連は意識しておきたいな!
強みを関連付けるとすると、、、「メンテ事業は強みを活かせなかった」ということか??
A社はメーカーだから一般的には「技術力」とかが強みになるのかな?メンテ事業はその「技術力」をフルに活かせるか?と聞かれると確かに疑問はあるな!
A社の「強み」とその「活用状況」についても与件文で確認だな!

 

とりあえずメンテ事業の詳細がこれだけだと全くわからないから、与件文でメンテ事業についてチェックだな!これは与件文から見つけやすいはず。そこから与件文を因果関係で整理していくか!

 

 

 

  • 直接の問題要求は「理由」(感覚的には「(失敗の)要因」)
     
  • 最大の(理由)」
    ▶ シバリ(制約条件)
    ▶ “最大の”ということから理由は複数存在するということ
    ▶ 複数列挙形式での解答はNG!
     
  • 具体の問題要求は「ビジネスとして成功しなかった(最大の理由)」
    ▶ “ビジネスとして成功”とは??
    ▶ 少なくとも「収益(利益)の確保」は絶対に外せない条件!(収益が確保できていないのにビジネスとして成功したとはなかなか言いづらい)
    ▶ 「収益(利益)=売上ー費用」だから売上面費用面のそれぞれ着目!
     
  • 取組は「A社長がトップに就任する以前」
    ▶ 「A社長がトップに就任する以前」という記載は本来不要
    ▶ 無くても問題の趣旨は通じるのにあえて記載している
      ⇒ 「わざわざ表現」
      ⇒ 何か意図があって記載した??
    ▶ つまり、「A社長がトップに就任する以前」というのが影響している可能性?
    ▶ 「A社長がトップに就任する以前」の状況は要チェックか
    ▶ 就任後の状況から比較することで「就任前」の状況を推測することもアリか?
     
  • テクニック】事例Ⅰでは「強み」が解答に関連する可能性がある
    ▶ A社は製造メーカーだったはず。メーカーの強みといえば一般的には「技術力」とか??
    ▶ メンテナンス事業では技術力などの強みが活きるのか??
    ▶ メンテナンス事業はA社の強みを活かせない事業であった可能性がある??

 

一言でいうと、
メンテ事業が収益を上げることができなかった最大の理由は何か?

 

与件文チェックリスト
 ✔ メンテ事業に関する記述全般
 ✔ メンテ事業に関する売上面、費用面
 ✔ A社の強みとその活用
 ✔ トップ就任前に関する記述全般
 ✔ トップ就任後に関する記述(比較して就任前の状況がわかるかも?)

(【手順4】解答作成(第1問)に進みたい方はコチラ)

   

 

【第2問】設問解釈

第2問(配点 20 点)
A 社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。

これも「過去」の分析だな~

問題要求は「企業風土」ね!
組織文化的な感じかな?会社には会社ごとの文化ってあるよな~。てか企業風土とか組織文化ってあまり意識したことなかったけど、「目に見えない」ものだよね。無形だけど、「従業員の行動」とか「従業員の考え方、思考」に現れるよね。与件文に従業員の行動や思考などの動きがあればチェックだな!

 

なになに、新経営陣は高コスト体質を改善したい、と。当然だわな。
A社の高コスト体質は、古い営業体質によるものであって、その営業体質の背景にはA社の企業風土がある、ということね。つまり、高コスト体質の改善のためには、企業風土から変えていく必要があるということか!高コストの原因となる営業体質を「良し」としていた企業風土ってどんなものだったのかな~。
とりあえず与件文から高コスト体質古い営業体質に関する記述をチェックしよう!
そこから企業風土を推測する感じか??

 

「新経営陣が(改革に取り組むことになった~」ってことは、旧経営陣だと改革が難しかったということか??経営陣を刷新しないと着手が難しいほど根深かった問題だったのかな??

 

 

 

  • 直接の問題要求は「企業風土
     
  • 企業風土は目に見えない。従業員の「考え」や「動き」から風土を推測か。
     
  • 「企業風土」⇒「古い営業体質」⇒「高コスト」という関連性
    関連性について説明があることから、「古い営業体質」や「高コスト体質」に関する記述から『企業風土』を推測する必要がある??
     
  • なぜコストがかかる営業が許容されていたのか??どんな組織文化だったら許容されるのか?

 

一言でいうと、
費用がかかる営業スタイルを「良し」とした企業風土とは何か?

 

与件文チェックリスト
 ✔ 「高コスト体質」や「古い営業体質」に関する記述をチェック
 ✔ 従業員の「考え」や「動き」をチェック
 ✔ なぜコストがかかる営業が許容されていたのかをチェック

(【手順4】解答作成(第2問)に進みたい方はコチラ)

 

 

【第3問】設問解釈

第3問(配点 20 点)
A 社は、新規事業のアイデアを収集する目的で HP を立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。

これも「過去」の分析だな!

問題要求は「成功要因」ね!
(「成功」という結果に対してだから、「要因」で違和感はないね!)

なになに、設問内容を整理すると、、、

製品やサービスの宣伝ではなく、新規事業のアイデア収集目的でHPを作成取組①)し、試験乾燥サービスを展開取組②)することによって市場を開拓することができた結果(取組による効果))、

と。。。

ほぼほぼ解答が書かれている気がする。。。これが解答じゃダメ!?!?
取組①、②をしたことで市場開拓という結果につながった」じゃダメ!?

いやいやいや、そんなはずはないよね!もう一度、冷静になって分析してみよう。

「試験乾燥サービス」を展開するとなぜ「市場開拓」につながるのか、これだけではわからないな。若干飛躍している気がする。つまり、ここの因果関係のつながりを与件文から確認すればいいのか??

 

でもそう考えると、この「自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。」っていう記述、、、かなり違和感があるなぁ。。。

だってそうでしょ!?いらないもん!無くても全然問題なし!「新規事業のアイデアを収集する目的で」っていってるじゃん!それなのにあえて記述しているってことは『わざわざ表現』だよね~。

あえてこの一文を入れたことに何か意味があるとしたら・・・

本来HPに期待する目的・機能とは異なる点、つまり、「なぜ新規事業のアイデアを収集する目的に焦点を当てたのか」その要因も問われているってことかな??

 

 

 

  • 直接の問題要求は「成功要因
     
  • 設問内容の展開を整理すると、『製品やサービスの宣伝ではなく、新規事業のアイデア収集目的でHPを作成し、試験乾燥サービスを展開することによって市場を開拓することができた』
    ということ。
     
  • 気になるところは次の二つ
    ①なぜ新規事業のアイデア収集に焦点を当てたのか?
    ②試験乾燥サービスを展開することでなぜ市場を開拓することができたのか?
     
  • 試験乾燥サービスは事業の詳細を与件文からチェックか

 

一言でいうと、
新規事業のアイデア収集目的でHPを作成し、試験乾燥サービスを展開することによって市場を開拓することができたのはなぜか??

 

与件文チェックリスト
 ✔ なぜ新規事業のアイデア収集に焦点を当てたのか?
 ✔ 試験乾燥サービスの概要
 ✔ 市場開拓への因果関係

(【手順4】解答作成(第3問)に進みたい方はコチラ)

 

 

【第4問】設問解釈

第4問(配点 20 点)
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

また「過去」の分析!?・・・(まぁ、いいか)

問題要求は「要因」ね。

具体的には、なぜ、「新経営陣による事業領域の明確化」が、「営業社員の積極化」につながったか、ということ!

ここの因果関係を整理するってことね!

 

事業領域明確化の効果としては、
・やることが明確になる
・やることが明確になると、組織としての一体感が醸成される
・やることが明確になると、『必要なもの』と『不必要なもの』が明らかになる
こんなところかな~?(あくまでも一般論だけど。。。)

 

「営業社員の積極化」ってことは「モチベーションの向上」かな??

 

今回はあまりクセが少ないから、実際の与件文を確認してみないとわからないな~

 

 

 

  • 直接の問題要求は「要因
     
  • 「新経営陣による事業領域の明確化」が、「営業社員の積極化」につながった要因の分析
     
  • 営業社員の積極化は、モチベーションが向上したため?

 

一言でいうと、
「新経営陣による事業領域の明確化」が、なぜ「営業社員の積極化」につながったのか??

 

与件文チェックリスト
 ✔ 事業領域明確化について確認
 ✔ 営業社員の積極化について確認
 ✔ モチベーションの向上を確認
 ✔ 因果関係整理

(【手順4】解答作成(第4問)に進みたい方はコチラ)

 

 

【第5問】設問解釈

第5問(配点 20 点)
A 社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

エッ!?・・・最後も「過去」の分析なの!?!?(そんなこともあるんだ~)

 

問題要求は「理由」ね!
「見送る」という行動に対してだから、ニュアンス的にも「理由」でいいね!特に違和感はないな!(これがもし「原因」だったら違和感があったけど)

 

なんらかの取組を行った(もしくは行わなかった)理由を問われた場合のセオリーは「経営課題解消のため」だな!
課題」があれば要チェックだな!

A社長は何か目的があって、「組織再編」を行いたかったんだよな~
「熟考」という表現からも、相当悩んだんだな~って感じがする。
そして、「今回」という表現から、きっとまだA社長は組織再編を諦めていないな笑

ということは、経営コンサルタントに「組織再編」そのものを全否定されたわけではないんだろうな!「今はそのタイミングではなかった」ってことかな??
それよりももっと優先すべきことがあったのかな??
そもそも組織再編の内容がわからないからそこは与件文を確認だな!

 

そういえば!

たしか最終段落をチラッと見たとき、この会社は「機能別組織」だったな!ということは、当面の間は「機能別組織」のままのほうがA社にとっては都合がいいってことかな??

そして、たしか「リストラ」してたはず!

リストラしたことが原因で組織再編を見送ったのかな??

 

 

 

  • 直接の問題要求は「理由
     
  • 具体的には「組織再編を見送った(理由)」
     
  • 理由」を問われた場合のセオリーは「経営課題の解消のため
     
  • A社長は組織再編を行いたかったが経営コンサルタントがそれを否定
    ▶ 結果的に、「今回」は「しぶしぶ」組織再編を見送ることになった
    ▶ 組織再編を行いたいA社長にもそれなりの目的・意図があったはず
    ▶ ただそれを加味しても組織再編のタイミングは「今ではない」ということ
     
  • A社は当時、どのような状況(内部環境や外部環境等)にあったのかを、客観的に把握しておく必要がある

 

一言でいうと、
組織再編を見送ったのはなぜか??

 

与件文チェックリスト
 ✔ 組織再編を見送った当時のA社の状況を確認
 ✔ 組織再編の内容を確認
 ✔ なぜ「機能別組織」がベターだったのか
 ✔ 「リストラ」によってA社はどのような状況にあったかを確認
 ✔ 「課題」を要チェック!

(【手順4】解答作成(第5問)に進みたい方はコチラ)

 

設問解釈については以上です。

設問解釈のイメージは掴んでいただけたかと思います。

このように、設問文から読み取れる、感じ取れる情報を「全てピックアップ」してください。

 

 

【手順3】設問文と与件文の紐づけ

設問解釈が終わったので、ようやく与件文の読み込みです。

 

ただし、いきなり3,000字近い文章から根拠を探すのは得策とは言えません。

 

そのため、先ず初めにやるべきは、与件文の「切り分け」です。

 

与件文と設問を「紐づけ」する作業となります。

 

与件文と設問を紐づける(関連付ける、結び付ける)だけならそこまで大変ではありません。

 

読み込んで因果関係を整理するのはまだ先です。
ここでの作業は、あくまでも「紐づけ(切り分け)」です。

 

(第1段落)
 A 社は、資本金 8,000 万円、売上高約 11 億円の農業用機械や産業機械装置を製造する中小メーカーである。縁戚関係にある 8 名の役員を擁する同社の本社は、A 社長の祖父が創業した当初から地方の農村部にある。二代目の長男が現代表取締役のA 社長で、副社長には数歳年下の弟が、そして専務にはほぼ同年代のいとこが就いており、この 3 人で経営を担っている。

 

(第2段落)
 全国に 7 つの営業所を構える A 社は、若い経営トップとともに総勢約 80 名の社員が事業の拡大に取り組んでいる。そのほとんどは正規社員である。2000 年代後半に父から事業を譲り受けた A 社長は、1990 年代半ば、大学卒業後の海外留学中に父が病気となったために急きょ呼び戻されると、そのまま A 社に就職することになった。

 

(第3段落)
 A 社長入社当時の主力事業は、防除機、草刈り機などの農業用機械の一つである葉たばこ乾燥機の製造販売であった。かつて、たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。その上、関連する産業振興団体から多額の補助金が葉たばこ生産業者に支給されていたこともあって、彼らを主要顧客としていた A 社の売上は右肩上がりで、最盛期には現在の数倍を超える売上を上げるまでになった。しかし、1980 年代半ばに公企業の民営化が進んだ頃から向かい風が吹き始め、健康志向が強まり喫煙者に対して厳しい目が向けられるようになって、徐々にたばこ市場の縮小傾向が進んだ。さらに、受動喫煙問題が社会問題化すると、市場の縮小はますます顕著になった。しかも時を同じくして、葉たばこ生産者の後継者不足や高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。こうした中で、A 社の主力事業である葉たばこ乾燥機の売上も落ち込んで、A 社長が営業の前線で活躍する頃には経営の根幹が揺らぎ始めていたといえる。とはいえ、売上も現在の倍以上あった上、一新人社員に過ぎなかった A 社長に際立った切迫感があったわけではなく、存続危機に陥るなどとは考えていなかった。

→ 前半は「たばこ市場」に関する記述です。第1問に事業失敗要因に影響しそうですね!

→ 後半の記述は、「組織の雰囲気?」「従業員の思考?」に関する記述ですね。紐づけるとしたら「第2問の企業風土」でしょうか。

 

(第4段落)
 しかし、2000 年を越えるころになって、小さな火種が瞬く間に大きくなり、2000年代半ばには、大きな問題となった。すでに 5 年以上のキャリアを積み経営層の一角となってトップ就任を目前にしていた A 社長にとって、存続問題は現実のものとなっていた。そこで、自らが先頭に立って自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。しかし、それはビジネスとして成り立たず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった。このままでは収益を上げることはもとより、100 名以上の社員を路頭に迷わすことにもなりかねない状況であった。そこで、自社の技術を見直し、農作物や加工食品などの乾燥装置など葉たばこ乾燥機に代わる新製品の開発に着手した。もっとも、その中で成功の部類に入るのは、干椎茸製造用乾燥機ぐらいであったが、この装置の売上が、最盛期の半分以下にまで落ち込んだ葉たばこ乾燥機の売上減少に取って代わる規模になるわけではなかった。その上、新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。そして、二代目社長が会長に勇退し、新体制が発足した。

→ 前半部分の記述は明らかに「第1問」に関係していますね!

 

→ 後半の記述は、「組織の文化」って感じがしますね。これは「第2問」に紐づけましょう。

 

また、「新規事業を受け入れない」ということは、「第1問のメンテ事業の失敗要因」にも影響するかもしれません。

 

とりあえず、「第1問」にも紐づけしておきましょう。

 

(第5段落)
 危機感の中でスタートした新体制が最初に取り組んだのは、長年にわたって問題視されてきた高コスト体質の見直しであった。減価償却も済み、補修用性能部品の保有期間を過ぎている機械の部品であっても客から依頼されれば個別に対応していたために、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していたのである。また、営業所の業務が基本的に手書きの帳簿で処理され、全社的な計数管理が行われないなど、前近代的な経理体制であることが明らかとなった。そこで、A 社のこれまでの事業や技術力を客観的に見直し、時代にあった企業として再生していくことを目的に、経営コンサルタントに助言を求めながら、経営改革を本格化させたのである。

→ 明らかに「第2問」に紐づけできます。

 

→ 「収益を圧迫していた」という費用面の記述から、「第1問のメンテ事業の失敗要因」にも紐づけできそうです。

 

(第6段落)
 当然のように、業績悪化の真っただ中にあっても見直されることなく、100 名以上にまで膨らんでしまっていた従業員の削減にも手を付けることになった。定年を目前にした高齢者を対象とした人員削減ではあったが、地元で長年にわたって苦楽を共にしてきた従業員に退職勧告することは、若手経営者にとっても、A 社にとっても、初めての経験であり辛い試練であった。その後の波及効果を考えると、苦渋の決断ではあったが、これを乗り越えたことで従業員の年齢が 10 歳程度も引き下がり、コストカットした部分を成果に応じて支払う賞与に回すことが可能になった。

 

(第7段落)
 こうして社内整備を図る一方で、自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した。その結果、 3 年の時を経て、葉たばこ以外のさまざまな農作物を乾燥させる機器の製造と、それを的確に機能させるソフトウエアの開発に成功した。さらに、動力源である灯油の燃費効率を大幅に改善することにも成功し、新規事業の基盤が徐々に固まってきた。

→ 「コアテクノロジー」という記述が明らかにA社の「強み」に関連していますね!そうなると、この記述は「第1問のメンテ事業の失敗要因(強みを活かせなかったから??)」に関連するかもしれませんね!とりあえず紐づけておきましょう!

 

→ 「明確に位置付け」という記述から、「第4問」に関する記述であると思われます。

 

(第8段落)
 しかしながら、新規事業の拡大は機器の開発・製造だけで成就するわけではなく、新規事業を必要とする市場の開拓はもちろん、販売チャネルの構築も不可欠である。当初、経営コンサルタントの知恵を借りながら A 社が独自で切り開くことのできた市場は、従来からターゲットとしてきたいわば既存市場だけであり、キノコや果物などの農作物の乾燥以外に、何を何のために乾燥させるのか、ターゲット市場を絞ることはできなかった。

→ 「第3問」の「新規アイディアを収集する目的」はここからきてそうですね!「第3問」に紐づけましょう。

 

(第9段落)
 藁をもつかむ思いで A 社が選択したのは、潜在市場の見えない顧客に用途を問うことであった。自社の乾燥技術や製品を市場に知らせるために自社ホームページ(HP)を立ち上げた。そして、そこにアクセスしてくれた潜在顧客に乾燥したいと思っている「モノ」を送ってもらって、それを乾燥させて返送する「試験乾燥」というサービスを開始した。背水の陣で立ち上げた HP への反応は、1990 年代後半のインターネット黎明期では考えられなかったほど多く、依頼件数は初年度だけで 100 件以上にも上った。生産農家だけでなく、それを取りまとめる団体のほか、乾物を販売している食品会社や、漢方薬メーカー、乾物が特産物である地域など、それまで A 社ではアプローチすることのできなかったさまざまな市場との結びつきもできたのである。もちろん、営業部隊のプレゼンテーションが功を奏したことは否めない事実である。

→ 明らかに「第3問」に紐づけできます。

 

(第10段落)
 こうして再生に向けて経営改革に取り組む A 社の組織は、本社内に拠点を置く製造部、開発部、総務部と全国 7 地域を束ねる営業部が機能別に組織されており、営業を主に統括するのが副社長、開発と製造を主に統括するのが専務、そして大所高所からすべての部門に A 社長が目配りをする体制となっている。

→ 組織に関することですね!つまり、「第5問の組織再編」に関連すると思われます。

 

(第11段落)
 しかしながら、これまでリストラなどの経営改革に取り組んできたものの、A 社の組織は、創業当時の機能別組織のままである。そこで、A 社長が経営コンサルタントに助言を求めたところ、現段階での組織再編には賛成できない旨を伝えられた。それを受け、A 社長は熟考の末、今回、組織再編を見送ることとした。

→ ここは明らかに「第5問」に関連しますね!紐づけましょう。

 

ここまでを整理すると以下のようになります。

サラッと本文を読んだところ、このように紐づけができました。

 

こーちゃん
こーちゃん

紐づけできていない段落もありますが、今はそれでOKです。
わかりやすく紐づけできるところから紐づけしましょう。

 

ここまでくれば、あとは簡単です。

 

第1問でいうと、段落3・4・5・7の内容を再度確認し、解答を組み立てましょう。

 

紐づけ作業終了後はいよいよ、じっくりと与件文を確認する作業となります。

 

こーちゃん
こーちゃん

さあ、いよいよクライマックスです!

より多くの段落と紐づけできている設問から着手するのがオススメです。
ヒントとなる記述がたくさんある方が「解答を作成しやすい」からです。

 

【手順4】解答作成

 

【第1問】

まずはおさらいしましょう。

< 設問文再掲 >
第1問(配点 20 点)
A 社長がトップに就任する以前の A 社は、苦境を打破するために、自社製品のメンテナンスの事業化に取り組んできた。それが結果的にビジネスとして成功しなかった最大の理由は何か。100 字以内で答えよ。

一言でいうと、
メンテ事業が収益を上げることができなかった最大の理由は何か?

与件文チェックリスト
 ✔ メンテ事業に関する記述全般
 ✔ メンテ事業に関する売上面費用面
 ✔ A社の強みとその活用
 ✔ トップ就任前に関する記述全般
 ✔ トップ就任後に関する記述(比較して就任前の状況がわかるかも?)

(第1問の設問解釈をもう一度ご覧になりたい方はコチラ)

 

関連する与件文(第3・4・5・7)を再掲します。

(第3段落)
 A 社長入社当時の主力事業は、防除機、草刈り機などの農業用機械の一つである葉たばこ乾燥機の製造販売であった。かつて、たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。その上、関連する産業振興団体から多額の補助金が葉たばこ生産業者に支給されていたこともあって、彼らを主要顧客としていた A 社の売上は右肩上がりで、最盛期には現在の数倍を超える売上を上げるまでになった。しかし、1980 年代半ばに公企業の民営化が進んだ頃から向かい風が吹き始め、健康志向が強まり喫煙者に対して厳しい目が向けられるようになって、徐々にたばこ市場の縮小傾向が進んだ。さらに、受動喫煙問題が社会問題化すると、市場の縮小はますます顕著になった。しかも時を同じくして、葉たばこ生産者の後継者不足や高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。こうした中で、A 社の主力事業である葉たばこ乾燥機の売上も落ち込んで、A 社長が営業の前線で活躍する頃には経営の根幹が揺らぎ始めていたといえる。とはいえ、売上も現在の倍以上あった上、一新人社員に過ぎなかった A 社長に際立った切迫感があったわけではなく、存続危機に陥るなどとは考えていなかった。

(第4段落)
 しかし、2000 年を越えるころになって、小さな火種が瞬く間に大きくなり、2000年代半ばには、大きな問題となった。すでに 5 年以上のキャリアを積み経営層の一角となってトップ就任を目前にしていた A 社長にとって、存続問題は現実のものとなっていた。そこで、自らが先頭に立って自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。しかし、それはビジネスとして成り立たず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった。このままでは収益を上げることはもとより、100 名以上の社員を路頭に迷わすことにもなりかねない状況であった。そこで、自社の技術を見直し、農作物や加工食品などの乾燥装置など葉たばこ乾燥機に代わる新製品の開発に着手した。もっとも、その中で成功の部類に入るのは、干椎茸製造用乾燥機ぐらいであったが、この装置の売上が、最盛期の半分以下にまで落ち込んだ葉たばこ乾燥機の売上減少に取って代わる規模になるわけではなかった。その上、新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。そして、二代目社長が会長に勇退し、新体制が発足した。

(第5段落)
 危機感の中でスタートした新体制が最初に取り組んだのは、長年にわたって問題視されてきた高コスト体質の見直しであった。減価償却も済み、補修用性能部品の保有期間を過ぎている機械の部品であっても客から依頼されれば個別に対応していたために、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していたのである。また、営業所の業務が基本的に手書きの帳簿で処理され、全社的な計数管理が行われないなど、前近代的な経理体制であることが明らかとなった。そこで、A 社のこれまでの事業や技術力を客観的に見直し、時代にあった企業として再生していくことを目的に、経営コンサルタントに助言を求めながら、経営改革を本格化させたのである。

(第7段落)
 こうして社内整備を図る一方で、自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した。その結果、 3 年の時を経て、葉たばこ以外のさまざまな農作物を乾燥させる機器の製造と、それを的確に機能させるソフトウエアの開発に成功した。さらに、動力源である灯油の燃費効率を大幅に改善することにも成功し、新規事業の基盤が徐々に固まってきた。

 

「第4段落」の前半部分に「自社製品のメンテナンスの事業化」に関する記載がありますね。

自らが先頭に立って自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。しかし、それはビジネスとして成り立たず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった。

 

ここでわかることは、

ビジネスとして成り立たず、売上減少費用増大という二重苦を生み出した

ということです。

 

設問解釈で検討したとおり、「売上面」と「費用面」に関する記述ですね。

 

新規に事業を立ち上げた場合、「売上ゼロ」が最悪のパターンですよね。そのため、「売上減少」は違和感があります。メンテナンス事業が、他の事業の売り上げまで下げたということでしょうか??

 

若干スッキリしませんが、いずれにせよ売上面にも費用面にも問題があり、収益を確保できなかったことはわかりますね。

 

「売上面」については、第3段落に関連する記述がありますね。

しかし、1980 年代半ばに公企業の民営化が進んだ頃から向かい風が吹き始め、健康志向が強まり喫煙者に対して厳しい目が向けられるようになって、徐々にたばこ市場の縮小傾向が進んだ。さらに、受動喫煙問題が社会問題化すると、市場の縮小はますます顕著になった。しかも時を同じくして、葉たばこ生産者の後継者不足や高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。

メンテナンス事業の市場は急速に縮小していることがわかります。

 

「売上確保は難しい」ことが容易に想像できます。

 

「費用面」についても確認してみましょう。第5段落に関連する記述があります。

危機感の中でスタートした新体制が最初に取り組んだのは、長年にわたって問題視されてきた高コスト体質の見直しであった。減価償却も済み、補修用性能部品の保有期間を過ぎている機械の部品であっても客から依頼されれば個別に対応していたために、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していたのである。

メンテナンス事業の部品在庫が「収益を圧迫」していたことがわかります。

 

こーちゃん
こーちゃん

メンテナンス用としてある程度の部品が必要なのは理解できますが、
収益を圧迫するほどの在庫過剰は問題アリですよね!

 

A社の「強み」を活用できていたかどうかも確認しましょう。第7段落に関連する記述があります。

こうして社内整備を図る一方で、自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した。

こーちゃん
こーちゃん

コアテクノロジー”との記載がありますね!
「ここが強みだよ!」という出題者からの強いメッセージを感じますね!

 

ここでわかることは、

A社のコアテクノロジー(強み)は “農作物の乾燥技術” 

ということです。

 

つまり、メンテナンス事業においてはA社の強みである「農作物の乾燥技術」を活かすことができなかったというのが、成功しなった理由として考えられます。

 

ここまでをまとめると、考えられる解答要素は、

  • (第3段落より)メンテナンス事業の市場縮小による売上不足
  • (第5段落より)メンテナンス事業の部品在庫が収益を圧迫していた?
  • (第7段落より)メンテナンス事業ではA社の強み(コアテクノロジー)を活かせなかった

といった感じでしょうか。

 

最後に、設問解釈で検討した「A社長がトップにに就任する以前のA社だったからメンテ事業は成功しなかった?」について確認していきましょう。

 

気になる記述が第4段落にあります。

新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。

メンテナンス事業も「新しい事業」になりますよね。少なからず「組織内の抵抗」があったものと思われます。

 

また、「組織内の抵抗」については次の記述からもわかります。「第4問の問題文」をご覧ください。

第4問(配点 20 点)
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

 

ここからわかることは、

A社長がトップ就任は、営業社員が新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった

ということです。

 

逆にいえば、

A社長がトップ就任は、新規事業の拡大については積極的ではなかった

ということです。

 

まとめると、

メンテナンス事業は市場縮小により十分な売上の確保が難しく
また、多くの部品を在庫しておく必要があることから多くの費用がかかり
さらに、強みである「農作物の乾燥技術」も活かせず
事業に対して古参社員からの抵抗もあった

ということです。

 

今回は「最大の」という「シバリ」があることから、要因を一つにまとめる必要があります。(設問解釈を参照)

 

そのため、一言でまとめると、

このような事業を選んでしまったから

となります。

 

  • 最大の要因は「事業の選定が好ましくなかった」から
    ▶第4問の問題要求にある「事業領域」という文言を使う【テクニック】
    ▶「事業領域の選定か好ましくなかった」といった形でまとめる
     
  • 好ましくなかった理由は、
    市場が縮小している事業で十分な売上が確保できなかったこと
    費用膨大であったこと
    強みが活かせなかったこと
    組織内の抵抗があったこと

 

 

【第2問】

おさらいです。

< 設問文再掲 >
第2問(配点 20 点)
A 社長を中心とした新経営陣が改革に取り組むことになった高コスト体質の要因は、古い営業体質にあった。その背景にある A 社の企業風土とは、どのようなものであるか。100 字以内で答えよ。

一言でいうと、
費用がかかる営業スタイルを「良し」とした企業風土とは何か?

与件文チェックリスト
 ✔ 「高コスト体質」や「古い営業体質」に関する記述をチェック
 ✔ 従業員の「考え」や「動き」をチェック
 ✔ なぜコストがかかる営業が許容されているのかをチェック

(第2問の設問解釈をもう一度ご覧になりたい方はコチラ)

 

関連する与件文(第3・4・5)も再掲します。

(第3段落)
 A 社長入社当時の主力事業は、防除機、草刈り機などの農業用機械の一つである葉たばこ乾燥機の製造販売であった。かつて、たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。その上、関連する産業振興団体から多額の補助金が葉たばこ生産業者に支給されていたこともあって、彼らを主要顧客としていた A 社の売上は右肩上がりで、最盛期には現在の数倍を超える売上を上げるまでになった。しかし、1980 年代半ばに公企業の民営化が進んだ頃から向かい風が吹き始め、健康志向が強まり喫煙者に対して厳しい目が向けられるようになって、徐々にたばこ市場の縮小傾向が進んだ。さらに、受動喫煙問題が社会問題化すると、市場の縮小はますます顕著になった。しかも時を同じくして、葉たばこ生産者の後継者不足や高齢化が急速に進み、葉たばこの耕作面積も減少するようになった。こうした中で、A 社の主力事業である葉たばこ乾燥機の売上も落ち込んで、A 社長が営業の前線で活躍する頃には経営の根幹が揺らぎ始めていたといえる。とはいえ、売上も現在の倍以上あった上、一新人社員に過ぎなかった A 社長に際立った切迫感があったわけではなく、存続危機に陥るなどとは考えていなかった。

(第4段落)
 しかし、2000 年を越えるころになって、小さな火種が瞬く間に大きくなり、2000年代半ばには、大きな問題となった。すでに 5 年以上のキャリアを積み経営層の一角となってトップ就任を目前にしていた A 社長にとって、存続問題は現実のものとなっていた。そこで、自らが先頭に立って自社製品のメンテナンスを事業化することに取り組んだ。しかし、それはビジネスとして成り立たず、売上減少と費用増大という二重苦を生み出すことになってしまった。このままでは収益を上げることはもとより、100 名以上の社員を路頭に迷わすことにもなりかねない状況であった。そこで、自社の技術を見直し、農作物や加工食品などの乾燥装置など葉たばこ乾燥機に代わる新製品の開発に着手した。もっとも、その中で成功の部類に入るのは、干椎茸製造用乾燥機ぐらいであったが、この装置の売上が、最盛期の半分以下にまで落ち込んだ葉たばこ乾燥機の売上減少に取って代わる規模になるわけではなかった。その上、新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。そして、二代目社長が会長に勇退し、新体制が発足した。

(第5段落)
 危機感の中でスタートした新体制が最初に取り組んだのは、長年にわたって問題視されてきた高コスト体質の見直しであった。減価償却も済み、補修用性能部品の保有期間を過ぎている機械の部品であっても客から依頼されれば個別に対応していたために、膨大な数の部品が在庫となって収益を圧迫していたのである。また、営業所の業務が基本的に手書きの帳簿で処理され、全社的な計数管理が行われないなど、前近代的な経理体制であることが明らかとなった。そこで、A 社のこれまでの事業や技術力を客観的に見直し、時代にあった企業として再生していくことを目的に、経営コンサルタントに助言を求めながら、経営改革を本格化させたのである。

 

第5段落より、高コスト体質の要因となった「古い営業体質」に関する記述があります。

<古い営業体質>
顧客からの依頼に備え、保有期間超過の部品も在庫する
②営業所業務は基本的に手書き帳簿で処理し、全社的な計数管理も行っていない

 

サクラ
サクラ

どのような企業風土だったら、上記のようなコスト管理が軽視されるような体質になってしまうのでしょうか??

こーちゃん
こーちゃん

確認してみましょう!

(第3段落)
こうした中で、A 社の主力事業である葉たばこ乾燥機の売上も落ち込んで、A 社長が営業の前線で活躍する頃には経営の根幹が揺らぎ始めていたといえる。とはいえ、売上も現在の倍以上あった上、一新人社員に過ぎなかった A 社長に際立った切迫感があったわけではなく、存続危機に陥るなどとは考えていなかった。

(第4段落)
その上、新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。

サクラ
サクラ

社員に関する記述は「企業風土」に大きく影響していそうですね!

つまり、

過去において成功を体験【⇒古き良き時代】

その成功体験に固執し、切迫感がなく、変化を拒む体質が根付いてしまった
 【⇒新しい事業に取り組むことを簡単に受け入れない】

ということです。

こーちゃん
こーちゃん

変化を拒む企業体質が形成された要因となった「過去の成功体験(古き良き時代)」についても確認してみましょう。
「第3段落」に関連する記述があります!

(第3段落)
かつて、たばこ産業は厳しい規制に守られた参入障壁の高い業界であった。その上、関連する産業振興団体から多額の補助金が葉たばこ生産業者に支給されていたこともあって、彼らを主要顧客としていた A 社の売上は右肩上がりで、最盛期には現在の数倍を超える売上を上げるまでになった。

ここからわかることは、

規制に守られたたばこ産業においては、主要顧客を大切に扱ってさえいれば、売り上げが拡大した、ということ!
▶ これがまさに「古き良き時代 = 過去の成功体験」

ということです。

 

ようやく全体像が見えましたね。まとめると以下のとおりです。

過去の成功体験により「主要顧客さえ大切にすれば大丈夫」という、切迫感がなく変化を拒む企業風土が形成され、故に古い営業体質(=高コスト体質)であっても誰も疑問に思わなかった。

 

【第3問】

おさらいです。

< 設問文再掲 >
第3問(配点 20 点)
A 社は、新規事業のアイデアを収集する目的で HP を立ち上げ、試験乾燥のサービスを展開することによって市場開拓に成功した。自社製品やサービスの宣伝効果などHP に期待する目的・機能とは異なる点に焦点を当てたと考えられる。その成功の背景にどのような要因があったか。100 字以内で答えよ。

一言でいうと、
新規事業のアイデア収集目的でHPを作成し、試験乾燥サービスを展開することによって市場を開拓することができたのはなぜか??

与件文チェックリスト
 ✔ なぜ新規事業のアイデア収集に焦点を当てたのか?
 ✔ 試験乾燥サービスの概要
 ✔ 市場開拓への因果関係

(第3問の設問解釈をもう一度ご覧になりたい方はコチラ)

 

関連する与件文(第8・9)も再掲します。

(第8段落)
 しかしながら、新規事業の拡大は機器の開発・製造だけで成就するわけではなく、新規事業を必要とする市場の開拓はもちろん、販売チャネルの構築も不可欠である。当初、経営コンサルタントの知恵を借りながらA 社が独自で切り開くことのできた市場は、従来からターゲットとしてきたいわば既存市場だけであり、キノコや果物などの農作物の乾燥以外に、何を何のために乾燥させるのか、ターゲット市場を絞ることはできなかった。

(第9段落)
 藁をもつかむ思いで A 社が選択したのは、潜在市場の見えない顧客に用途を問うことであった。自社の乾燥技術や製品を市場に知らせるために自社ホームページ(HP)を立ち上げた。そして、そこにアクセスしてくれた潜在顧客に乾燥したいと思っている「モノ」を送ってもらって、それを乾燥させて返送する「試験乾燥」というサービスを開始した。背水の陣で立ち上げた HP への反応は、1990 年代後半のインターネット黎明期では考えられなかったほど多く、依頼件数は初年度だけで 100 件以上にも上った。生産農家だけでなく、それを取りまとめる団体のほか、乾物を販売している食品会社や、漢方薬メーカー、乾物が特産物である地域など、それまで A 社ではアプローチすることのできなかったさまざまな市場との結びつきもできたのである。もちろん、営業部隊のプレゼンテーションが功を奏したことは否めない事実である。

 

マーカーした部分には、設問文にある「新規事業のアイデア収集目的でHPを作成し、試験乾燥サービスを展開することによって市場を開拓することができた」ことのより詳しい記述ですね。

しかし、今回の問題要求は、その「成功要因」です。

サクラ
サクラ

「成功」の背景には一体何があったのか、を知りたいんです!

こーちゃん
こーちゃん

第9段落をもう一度確認してみましょう!

 

(第9段落)
背水の陣で立ち上げた HP への反応は、1990 年代後半のインターネット黎明期では考えられなかったほど多く、依頼件数は初年度だけで 100 件以上にも上った。

(第9段落)
もちろん営業部隊のプレゼンテーションが功を奏したことは否めない事実である。

サクラ
サクラ

確かに何か違和感のようなものは感じますね~。これが「わざわざ表現」というものでしょうか。ヒントに使ってもらいたいからわざわざ書いたような出題者の意図を感じます!

こーちゃん
こーちゃん

もちろんなどの接続詞はわざわざ表現の代表例ですよね~

つまり、市場開拓に成功した要因として考えられるのは、

  • 試験乾燥サービスに対する市場のニーズが非常に高かったこと
  • ニーズを有した潜在顧客はHPへアクセスしてくる土壌がすでにあったこと
  • A社の強みに関する営業部隊の訴求力が高かったこと

といったところでしょうか。

 

さらに、
設問解釈で検討した「なぜ新規事業のアイデア収集に焦点を当てたのか?」についても検討していきたいと思います。

ここまで与件文を読み進めてきた皆さんならすでにお気づきではないでしょうか??

そうなんです!

過去において、ロクに市場調査もせずに突っ走った結果、失敗した事例がありましたよね!?

そうです!「第1問のメンテナンス事業の失敗事例」です!

出題者としては、過去の失敗から学んでほしいといった思いがあったのではないでしょうか??

 

まとめると以下のとおりです。

  • メンテナンス事業の失敗を教訓に、しっかりとニーズ調査を行ったこと
  • 試験乾燥サービスに対する市場のニーズが非常に高かったこと
  • ニーズを有した潜在顧客はHPへアクセスしてくる土壌がすでにあったこと
  • A社の強みに関する営業部隊の訴求力が高かったこと

 

 

【第4問】

おさらいです。

< 設問文再掲 >
第4問(配点 20 点)
新経営陣が事業領域を明確にした結果、古い営業体質を引きずっていた A 社の営業社員が、新規事業の拡大に積極的に取り組むようになった。その要因として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

一言でいうと、
「新経営陣による事業領域の明確化」が、なぜ「営業社員の積極化」につながったのか??

与件文チェックリスト
 ✔ 事業領域明確化について確認
 ✔ 営業社員の積極化について確認
 ✔ 因果関係整理

(第4問の設問解釈をもう一度ご覧になりたい方はコチラ)

 

関連する与件文(第7段落)もピックアップして再掲します。

(第7段落)
 こうして社内整備を図る一方で、自社のコアテクノロジーを「農作物の乾燥技術」と明確に位置づけ、それを社員に共有させることによって、葉たばこ乾燥機製造に代わる新規事業開発の体制強化を打ち出した。その結果、 3 年の時を経て、葉たばこ以外のさまざまな農作物を乾燥させる機器の製造と、それを的確に機能させるソフトウエアの開発に成功した。さらに、動力源である灯油の燃費効率を大幅に改善することにも成功し、新規事業の基盤が徐々に固まってきた。

この段落から、「コアテクノロジー」を明確化させたことがわかります。

ということは、「そのコアテクノロジーを軸に事業展開をしていく」ということであり、それはつまり、「事業領域の明確化」とイコールです。

しかし、「営業社員の積極化」に関する記述は見受けられません。

第7段落に書いてあることは
・事業領域の明確化(取組)
・新規事業の基盤が固まってきた(取組による「効果」)
です。

 

ここで少し、「事業領域の明確化」の “効果” について考えてみましょう。

設問解釈で検討したとおり、事業領域明確化の効果は

  1. やることが明確になる
  2. やることが明確になると、組織としての一体感が醸成される
  3. やることが明確になると、『必要なもの』と『不必要なもの』が明らかになる

が一般論として考えられます。

あくまでも一般論ですが、「組織としての一体感」は要因として考えられますね。
※与件文に基づかない一般論のため、解答の優先順位は低いです。

また、「不必要なものが明らかになる」と考えると、これまでどの設問とも紐づいていなかった「第6段落」が急に解答根拠として急浮上してきます。

第6段落を再掲します。確認してみましょう。

(第6段落)
 当然のように、業績悪化の真っただ中にあっても見直されることなく、100 名以上にまで膨らんでしまっていた従業員の削減にも手を付けることになった。定年を目前にした高齢者を対象とした人員削減ではあったが、地元で長年にわたって苦楽を共にしてきた従業員に退職勧告することは、若手経営者にとっても、A 社にとっても、初めての経験であり辛い試練であった。その後の波及効果を考えると、苦渋の決断ではあったが、これを乗り越えたことで従業員の年齢が 10 歳程度も引き下がり、コストカットした部分を成果に応じて支払う賞与に回すことが可能になった。

ここからわかることは、

  • 事業領域の明確化により、必要な従業員数が明確になる
  • 必要となる従業員数に比べて、現在の従業員数は「過剰」である
  • 過剰分は人員整理で解消を図る
  • 人員整理の対象となったのは「定年を目前にした高齢者」
  • 人員削減により成果に応じた賞与の支給が可能になる

といったところでしょうか。 

定年を目前にした高齢者」については、以下の記述が関連しております。

(第4段落)抜粋
その上、新しい事業に取り組むことを、古き良き時代を知っている古参社員たちがそう簡単に受け入れるはずもなかった。

つまり、人員削減の対象となったのは、「新規事業に抵抗していた古参社員」であると思われます。

新規事業への抵抗勢力であった古参社員の大半が退職したことで、会社に残った社員が新規事業に取り組みやすくなった、と考えることもできますね。 

また、「成果に応じた賞与の支給が可能」になったという記述は、営業社員の積極化に寄与しますね!

さらに、第6段落の「その後の波及効果を考えると」という記述がとても強調されています。

明らかな強調表現は出題者からのヒントである可能性が高いです。

「地元で長年にわたって苦楽を共にしてきた従業員への退職勧告したことによる波及効果」ということなので、これまで切迫感がなかった従業員にも「危機感」が伝わったのかもしれませんね!

 

まとめると以下のとおりです。

 

解答はこれらを端的にまとめましょう!

 

【第5問】

おさらいです。

< 設問文再掲 >
第5問(配点 20 点)
A 社長は、今回、組織再編を経営コンサルタントの助言を熟考した上で見送ることとした。その最大の理由として、どのようなことが考えられるか。100 字以内で答えよ。

一言でいうと、
組織再編を見送ったのはなぜか??

与件文チェックリスト
 ✔ 組織再編を見送った当時のA社の状況を確認
 ✔ 組織再編の内容を確認
 ✔ なぜ「機能別組織」がベターだったのか
 ✔ 「リストラ」によってA社はどのような状況にあったかを確認
 ✔ 「課題」を要チェック!

(第5問の設問解釈をもう一度ご覧になりたい方はコチラ)

 

関連する与件文(第10・11)も再掲します。

 

(第10段落)
 こうして再生に向けて経営改革に取り組む A 社の組織は、本社内に拠点を置く製造部、開発部、総務部と全国 7 地域を束ねる営業部が機能別に組織されており、営業を主に統括するのが副社長、開発と製造を主に統括するのが専務、そして大所高所からすべての部門に A 社長が目配りをする体制となっている。

(第11段落)
 しかしながら、これまでリストラなどの経営改革に取り組んできたものの、A 社の組織は、創業当時の機能別組織のままである。そこで、A 社長が経営コンサルタントに助言を求めたところ、現段階での組織再編には賛成できない旨を伝えられた。それを受け、A 社長は熟考の末、今回、組織再編を見送ることとした。

簡単に整理すると、

  1. A社は再生に向けて現在も経営改革に取り組んでいる【課題】
  2. 現状は機能別組織【現体制】
  3. 営業は主に副社長が、開発と製造を主に専務が統括している【現体制】
  4. 大所高所からすべての部門を社長が目配りする体制【現体制】
  5. 経営コンサルに助言を求めたが現段階での組織再編には賛成できない旨が伝えられる

こんなところでしょうか。

「1」は課題です!

つまり、

経営改革を進める(という課題を解消する)ため、組織再編を見送った(取組)

ということでしょうか。あるいは、

経営改革を進める(という課題を解消する)ためには、機能別組織のままのほうが都合が良かったので組織再編を見送った(取組)

といったところでしょうか。

経営改革を強力に推し進めるためには、権限を分散させるのではなく、権限を経営陣に集中させ、経営陣がしっかりと統制する体制のほうが有利と判断し、機能別組織のままでいることを選択したのかもしれませんね!

 

「2」~「4」については 現状の体制 についての説明です。

副社長や専務、そして社長が現場を管理・統括する体制は本来のあるべき姿ではないと思われます。おそらくA社長もそういったことも踏まえて組織再編を望んでいたのではないでしょうか。

しかし、「5」のとおり、経営コンサルは現段階での組織再編を否定します。

否定したのは、あくまでも ”現段階における” 組織再編です。

「現段階」、つまり、当時のA社の状況はこれまですでに見てきたとおり、「古参社員のリストラ」を行ったところです。

そのことについては、第11段落前半においても ”繰り返し” 記載されています。

こーちゃん
こーちゃん

”繰り返し”記載されている箇所は要チェックです!
出題者からのヒントである可能性大です!

サクラ
サクラ

重要な要素だからこそ、繰り返されているわけですね!

つまり、

古参社員をリストラしたばかりの現在のA社の状況においては、組織再編を行うのは得策ではない。当面の間は現状の機能別組織のままでいるべきだ。

ということでしょうか。

これまでの機能別組織から、どのような組織へ再編したかったのかは明らかになっていませんが、ベテランである古参社員をリストラしたA社にとっては、「管理者」としての人材が不足していると思われます。

そのため、

  • 組織再編ではなく、『社員の育成』に力を注ぎ、管理者を育成する。
  • 社員教育により、自社のコアテクノロジー(強み)に磨きをかける。

これらを優先すべきといった判断があったのかもしれませんね。

 

 

最後に

2次試験は知識試験ではありません。先ずはそこを正確にしっかりと押さえることが大切です。詳しくはコチラをご覧ください。

 

そして、こちらでは2次試験対策の必読書について詳しく記載しておりますので、あわせてご覧ください。本日の記事もベースとなっているのはコチラの書籍です。

 

本日は以上です。

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